ホルスト・ヤンセン展~北斎へのまなざし~を見に、八王子市夢美術館に行ってきました。
前日、明け方まで飲みに付き合った為、結局出掛けるのが夕方近くになってしまいました。(まぁ、それでも昨日の、見知らぬ頭の薄いおいさんのガッチャマンは秀逸だったので良しとしときます。っていうか、なんだ、あれ。県庁勤めとか言ってたなぁ。)会期は1月22日まで。今日行かなくちゃ、またいつ本物を見れるのか?!ってことで、猛ダッシュで八王子まで出掛けました。
バスに乗って着いた八王子夢美術館は、商店街の中ほどにあるという、少し変わった環境の美術館。2階に上ると小さめの美術館が。どうにか閉館1時間半前にはたどり着けたし、一安心。で、ヤンセンとご対面。
ホルスト・ヤンセン、については学生時代から画集も持っていて、制作やなんかの折にはちょくちょく見ていたり、で、版画家としてかなり、とても、好きな作家だったんですが、本物を見たことが無かったんです。で、やっと、本物に出会えた訳です。
そして。
やっぱり、本物は凄かったです。
というか、もう、画集からもその、執拗なまでの眼差し、描く事、は出ていたんですが。なにせ、自分を北斎に倣って“画狂人”と言い、“私は愛するように素描する”と言った、ヤンセン、です。
作品を見ている間、私はずぅ~っと自分の両手をぎゅうっと掴んでいました。パラノイアの自画像と題された作品の前で。溶けていくような、肥大していくような自画像たちの前で。どことなく呼吸が苦しい。鋭利な刃物のような。だからこそ、いやおうなしに、自分に向けられる。
彼の苦しさと、画面に向かう恐ろしいまでの真っ直ぐな力にやられたのでしょう。苦しくて、痛い。そして、だからこそ強いもの。画狂人。
数々の女達と、酒、そして、ひとたび制作に入ると、食事さえとらず、誰とも会わない。そんなヤンセンは、ビデオの中で、まるで子供のように素描をしていました。
そして、私はそのビデオを見ながら、憧れと、そして到底私の届く所ではないのだという爽やかな確信を持って、帰りの道をゆっくりと歩いて帰りました。
それでも、決してそうはなれないけれど、この憧れはずぅ~っとあって、そして、またいつかヤンセンの生の作品にあった時に、また出会えるもの、だと思っています。もちろん、少し、ほんの少し、画狂人の域を垣間見たいと言う希望は持ち続けつつ。
コメントを残す